水文・水資源学会誌
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9 巻, 5 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 途上国から先進国へ
    近藤 純正
    1996 年 9 巻 5 号 p. 393-394
    発行日: 1996/09/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
  • 広田 知良, 福本 昌人
    1996 年 9 巻 5 号 p. 395-403
    発行日: 1996/09/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
    裸地面の顕熱輸送量をバルク法で評価する場合に重要な要素となる,地表面温度と顕熱の交換係数CHUについて検討を行った.地表面温度の瞬時値は,日中,深さに対して急激な温度勾配をしばしば生じ,面的にも不均一となるため測定が容易ではない.しかし地表面温度の日平均値は深さに対する依存性や面的な不均一性に対して敏感ではなくなり,比較的測定が容易となる特徴を持つ.この特徴は地表面温度を予測するForce-Restoreモデルから説明ができ,地表面温度に対する地表面とみなせる表層の厚さは,土壌の熱的性質ばかりでなく変動周期の関数である制動深さに影響を受ける.顕熱の交換係数CHUについては, CHUを30分平均値と日平均値の熱収支観測データに基づいてパラメータ化した場合を比較した.両者のCHUはほぼ同じ結果となり,バルク法で日平均気象データから日平均顕熱輸送量を推定したところ,観測値を良く再現した.さらに,顕熱輸送量の観測値がない場合でも入手容易なルーチン気象観測データの湿潤時の日平均値からCHUが求められ,日平均顕熱輸送量も約10W・m-2の推定誤差で求められることを示した.
  • 田尻 要, 神野 健二, 河村 明
    1996 年 9 巻 5 号 p. 404-413
    発行日: 1996/09/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
    近年の少雨傾向による利水安全度の低下に対して、既存の水源や施設の有効利用を目的に、水供給ネットワークを構築する水資源の広域利用化が注目されている。水資源の広域化に関して各自治体の合意を得るためには、基礎的な資料として各自治隼の水源の特性や施設の能力および自己水源の開発可能量など、水供給システムの現状を定量的に評価し考察する必要がある。本報では事例解析として、福岡都市圏において自己水源の形態が異なる2つの自治体を対象に、リスク解析を適用したシミュレーションによる水供給システムの評価を行った。リスク解析の基礎的な指標である、信頼度、回復度、深刻度に、新たにDrought Risk lndex(DRI)を定義し、特にDRIに着目して検討した。得られた主な知見は、各自治体に対するシミュレーションによって(1)水供給システムの特性が把握される。(2)利水安全度向上のための方策が明らかになる。(3)水資源の広域利用化に対して、融通が可能な水量を検討することができる。以上の点から、(4)リスク解析は、広域利水の可能性を検討するための有効な評価手法のひとつであると考える。
  • 中山 幹康
    1996 年 9 巻 5 号 p. 414-424
    発行日: 1996/09/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
    インドネシア,ジャワ島西部に1980年代初めに建設されたサグリン・ダムは,人口密度が極めて高い地域で建設が計画されたため,移転を余儀なくされる人々への補償が建設にあたっての最大の問題であった.フロー・ダイアグラムと呼ばれる手法がサグリン・ダムにおけるEIA(環境影響評価)では適用され,この時期のプロジェクトとしては,例外的に精緻なEIAが実施されている.本研究では,プロジェクトが実施される前に行われた環境への影響の予測と,実際にプロジェクトが実施された結果として生じた影響とを比較し,両者に差異がある場合には,その原因をEIAの方法論に帰納して解析することを試みた.サグリン・ダムの建設に伴う環境的な変化の内, EIAによる予測が十分ではなかったと判断される事項としては,移転による「村落共同体」への影響,情報の欠如による住民の不安の増大,住民相互の不信の発生,建設工事による住民の雇用の不調,移転者に対する補償の不備などが挙げられる.サグリン・ダムの事例から,同様なダムの建設にあたっては,「村落共同体」を再建することの是非の検討と,再建または非再建に際して住民が新たに生活を確立出来るような施策,水没予定地域の住民へのプロジェクト実施者による正確な情報の伝達,住民相互の不信感の発生を未然に防ぐための方策,建設による雇用機会増大を住民が享受できる体制の確立,水没補償のための基準の確立などによる方法論の整備が必要である.
  • 谷 誠, 阿部 敏夫
    1996 年 9 巻 5 号 p. 425-437
    発行日: 1996/09/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
    不均質な流出経路をもつ斜面からの流出に土壌物理性などの斜面特性が及ぼす影響を明らかにするため,底面にパイプなどの水みちが発達した土層が不透水層上に存在するとした斜面土層モデルを提示して,流出逓減特性を検討した.土層には二次元飽和不飽和浸透流モデルが適用できるとし,土層底面からの流出は十分発達した水みちにより斜面下方へ排水されると仮定した.底面からの排水流出QVと斜面方向への浸透流出QLは,逓減特性が著しく異なった.山地小流域の実測流量と比較したところ,QVは観測された洪水流よりも著しく速い逓減を示し,QLは観測された長期無降雨時の基底流に近い逓減特性を示した.水みちにおける流出にかかわる遅れ時間を考慮すると,QVは水みちを通ることにより洪水流に寄与し,QLは基底流に寄与すると考えられた.また,QV, QLと土層内の貯留量とに関数関係が得られ,斜面特性の流出モデルへのパラメータ化の可能性が示唆された.
  • 小林 哲夫, 賀 文君, 永井 秀幸, 足立 和彦
    1996 年 9 巻 5 号 p. 438-443
    発行日: 1996/09/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
    高温乾燥土壌面では,水蒸気密度が地中から接地気層へ向かって急増するが,それでも水蒸気はその密度勾配に逆らって大気中へ輸送される.この水蒸気の逆勾配流れをもたらす機構は,土壌面と接地気層との間の大きな温度差によって駆動される一種の対流と考えられる.しかし,このような特徴的な鉛直プロフィールそのものを作りだす機構の解明には,さらに研究すべき点が残されている. これらの結果から,土壌面蒸発の第3段階における蒸発速度は,地中の水分と温度のプロフィールによって決まり,接地気層内の湿度や風速の影響はほとんど受けないことが推論できる.
  • 橘 治国, 清水 達雄, 中川 佳久
    1996 年 9 巻 5 号 p. 444-456
    発行日: 1996/09/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
    石狩川の融雪期の水質とその流出特性を調査し、以下の結果を得た.1.水質の特徴 (1)融雪増水時には懸濁態成分(SS, TOCss, PP等)の濃度と流出負荷量が増加する. (2)BOD, TOCF,陰イオンは,流量増加時にその濃度が減少し,地表からの供給量(蓄積量)に限界がある.この傾向は都市化の影響を受けた地点で強い. (3)硝酸態が優占する窒素は,融雪初期に高濃度であるが,蓄積量に限界があり融雪後期には濃度が低下する.リンは大量に土壌に蓄積されており,懸濁態反応リンとして高濃度で流出する. (4)水質成分の融雪期の流出形態は,汚濁物質希釈期,面源汚濁物質流出期,非汚濁物質流出期に区分される.2.水質成分流出特性 (1)年間流出負荷に対する融雪期の割合は,流量の約30%と比較すると,一般無機成分は大差ないが,汚濁成分では低く,特に溶存態有機成分で低い.無機窒素は,都市域下流では若干高く,広域的には低下する.水質成分の流出負荷量は汚染の形態と密接に関連する.(2)融雪期は,地表蓄積成分が洗い出され,この傾向は流域面積と対応して大きくなるが,洪水期に比べるとかなり小さい.
  • 伊藤 健吾, 大槻 恭一, 神近 牧男
    1996 年 9 巻 5 号 p. 457-462
    発行日: 1996/09/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
    水中で三次元に分布しているアオコの動態を的確に捉えるには,水中にアオコを感知できるセンサーを設置する必要がある.そこで本研究では,アオコに含まれるフィコビリンPhycobilin系色素に注目した光センサーを制作した.センサーは,フォトダイオードと干渉フィルターを組み合わせた感光部と標準光源で構成され,試料の透過光を分光測定できるようになっている.室内実験によってアオコ,アオミドロ,黒ボク土,酸化マグネシウム混濁液の吸光度を測定した結果,アオコとアオミドロは一般の植物と同様の吸光特性を示し, 800nmと550nmの吸光度の差からそれらの濃度が推定できることが明らかになった.また,アオコとアオミドロを分離して評価するため,アオコ特有の植物色素であるフィコビリン系色素の吸光作用に注目した結果,アオミドロでは変化の見られなかった670nmと550nmの吸光度の差からアオコ濃度が推定できた. 670nmと550nmの吸光度の差は,酸化マグネシウムなど植物プランクトン以外の浮遊物によっても生じるため,アオコ濃度の推定には, 800nmと550nmにおける一次分類と670nmと550nmにおける二次分類を合わせて行なう必要があるように思われる.
  • 近藤 純正, 徐 健青
    1996 年 9 巻 5 号 p. 463-467
    発行日: 1996/09/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
  • 近藤 純正, 徐 健青, 萩野谷 成徳
    1996 年 9 巻 5 号 p. 468-472
    発行日: 1996/09/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
  • 河村 明
    1996 年 9 巻 5 号 p. 474
    発行日: 1996/09/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
  • 田殿 武雄
    1996 年 9 巻 5 号 p. 475
    発行日: 1996/09/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
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