日本看護研究学会雑誌
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褥瘡予防用マットレスに関する実験的検討
-M-I型モデルを使用して-
加藤 美智子川口 孝泰松岡 淳夫
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1987 年 10 巻 3 号 p. 3_24-3_35

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抄録

 褥瘡の予防は,看護において重要な問題の一つである。この問題を解くために,様々な医療器具が開発されている。
 本研究においては,体圧の集中を防ぎ,圧の分散を考慮して開発されたM-I型マットレスについての実験をおこなった。
―M-I型マットレス―
 このマットレスは,ベッド上に10×10×45cmのウレタン製マットを20本,2列に並べた形でつくられている。この構造により,褥瘡好発部の下に,ウレタンを引き抜くことによって空隙を作ることができ,これにより,患者を動かさずに体位変換と同様の効果をもたらすことができる。
―実験条件―
 1. 素材(ウレタンマットレス)
  a. Type.1(基本型)10×10×45cm(比重15.5kg)
  b. Type.2(ダブルサイズ型)20×20×45cm(比重15.5kg+12.0)
  c. Type.3(    〃    )20×20×45cm(比重15.5kg+13.0)
―実験項目―
 1. 殿部の体圧分布
 2. 仙骨部下での温湿度変化
 3. 臥床姿勢の分析
―実験結果―
 ・タイプ1は約16cm引き抜きにおいて,持続的な阻血の回避に有効であった。
 ・タイプ2・3における効果的な引き抜き幅はタイプ1より小さかった。
 ・タイプ2・3においては,臥床姿勢はタイプ1よりも良い結果であった。
 ・タイプ3は,引き抜き約8cmで,全ての結果を通じて褥瘡予防に最も効果的であった。
 今回の実験から,このM-I型マットレス褥瘡好発部位に空隙を作ることにより,体圧集中部位の圧分散により持続的な阻血状態を回避する効果があることがわかった。
 今後,このマットレスは更に,臥床姿勢,温湿度の見地からの検討を行っていく必要がある。

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© 1987 一般社団法人 日本看護研究学会
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