日本看護研究学会雑誌
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仰臥位保持による心身の自覚的訴え
工藤 恭子南沢 汎美
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1987 年 10 巻 3 号 p. 3_16-3_23

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抄録

 健康な成人女子を対象として,同一体位保持により生ずる苦痛について調べた。被験者に畳の上で仰臥位を120分間保持させ,その間に感じた苦痛を一定の基準に従って訴えさせ,この結果を半定量的に分析した。苦痛の内容は「しびれる」「痛い」の訴えが際立って頻度が高く,「かゆい」「だるい」「眠い」「いらいらする」の順で訴えが多かった。「しびれる」「痛い」「だるい」の訴えは体位保持時間が長びくに従って次第に増加したが,「眠い」「かゆい」はある時期まで次第に増加した後減少するという二様のパターンが見られた。「痛い」の初発部位は大部分の被験者において頭部であり,全経過時間中の訴え頻度の高い部位は頭部,これに次いで踵部,腰部であった。「痛い」の訴えは最後の30分間に急激な増加を示し,苦痛が緩和されない場合に「痛み」の苦痛が蓄積され増してゆく状況が明らとなった。苦痛の様相には個人差が認められるが,体型がその一要素となる可能性についても考察を加えた。

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© 1987 一般社団法人 日本看護研究学会
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