日本看護研究学会雑誌
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病院における看護婦長のリーダーシップ行動測定尺度の構成
吉田 道雄内川 洋子成田 栄子
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1996 年 19 巻 4 号 p. 4_29-4_42

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抄録
  本研究では,看護スタッフに対する看護婦長のリーダーシップ測定尺度を構成するために,看護スタッフから得られた婦長の行動についての行動リストに基づいて項目の集約を行った。
  1. 124項目の看護婦長の行動についての看護スタッフの回答に基づいて因子分析を行った。その結果,「積極的教育・指導」「スタッフ尊重」「患者理解・配慮」「積極的病棟管理」「責任遂行」「対人配慮」の6つの因子が見いだされた。
  2. 看護スタッフの満足度を測定するために18項目の質問を作成し,看護スタッフに対して回答を求めた。リーダーシップ行動と同様に因子分析を行ったところ,「職業満足」「福利厚生・教育満足」「仕事満足」の3つの因子が見いだされた。
  3. 看護婦長のリーダーシップ行動測定尺度の妥当性を検討するために,リーダーシップ行動と看護スタッフの満足度についての関係を分析した。その結果,「職場満足」についてはすべての因子で,「福利厚生・教育満足」では「対人配慮」を除く5つの因子と強い関係が見いだされた。「仕事満足」については,リーダーシップのいずれの因子とも有意な関連は見いだされなかった。この第3の因子については,全体として得点が高く看護婦長の行動によって影響を受けにくかったためではないかと考えられた。
  4. さらに重回帰分析によるリーダーシップ行動と満足度との関係についての検討が行われた。その結果,婦長のリーダーシップ行動が看護スタッフの満足度を十分予測できることが明かになった。
  以上の分析から,本研究で集約された行動リストが看護スタッフに対する婦長のリーダーシップ行動を測定するための尺度として妥当性をもっていることが明かにされた。
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© 1996 一般社団法人 日本看護研究学会
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