日本看護研究学会雑誌
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温罨法が就床中の生体に与える影響に関する基礎的・応用的研究
長谷部 佳子
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2003 年 26 巻 5 号 p. 5_45-5_57

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抄録

 この研究の目的は,温罨法の中でも科学的データが少ない 「湯たんぽ」 に関して,その湯温が生理学的計測値や主観的感覚に与える効果,およびこれらの計測値に与える身体的因子の影響を検討することにあった。
女子学生14名を対象に湯たんぽ作成時の湯温を80℃と55℃の2種類,コントロールを寝床内温度とほぼ同等の30℃としたクロスオーバーデザインを組み,計測を行った。 1被験者への温熱条件は無作為に割り付けて,1日1種類の温度のみとした。
 その結果,湯温の違いは寝床内湿度,足趾皮膚血流量,足底深部温,足底-前額深部温較差および温冷感覚に有意の影響を与え,湯たんぽ作成時湯温が80℃の場合は,55℃よりも被験者の温冷感覚において優れていた。 また,温罨法実施前の計測値は,温熱感受性や体脂肪率の影響を受ける傾向を認めた。
 本研究は,温罨法を行う際の観察内容を明らかにすると同時に,湯温と使用方法に関する規準の見直しを示唆した。

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© 2003 一般社団法人 日本看護研究学会
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