日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
Online ISSN : 1884-6114
Print ISSN : 1883-1273
ISSN-L : 1883-1273
心臓サルコイドーシスをいかに診断するか
99mTc-MIBI心筋血流SPECTの洗い出し率による心臓サルコイドーシスの評価
皿井 正義森本 紳一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 32 巻 1 号 p. 60-64

詳細
抄録

心臓サルコイドーシスの診断は容易ではなく,早期診断は予後を左右する.心臓核医学検査のテクネシウム心筋血流製剤である99mTc-MIBI (以下MIBI)の洗い出し率(washout rate; WOR)が注目されている.ミトコンドリア心筋症では,WORの高度な亢進が報告されている.虚血性心疾患,心不全,心筋症でもWORの亢進が報告されているが,心臓サルコイドーシスでの報告は今までにない.ステロイド治療群と未治療群の比較では,WOR と血中ACE値(ACE)はステロイド治療群で有意に低値であったが,左室駆出率に差はなかった.ステロイド治療前後にMIBI検査を施行した5 例では,ステロイド治療により,WORとACEは低下した.ステロイド治療開始後にMIBI検査を2 回施行した5 例では,WORとACEは上昇傾向を認めた.MIBIのWORの変化はACEと同じ傾向を示したので,心臓サルコイドーシスの活動性の評価やステロイド治療の効果判定に利用できる可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2012 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
前の記事 次の記事
feedback
Top