日本東洋医学系物理療法学会誌
Online ISSN : 2434-5644
Print ISSN : 2187-5316
原 著
盲学校理療科における坐骨神経鍼通電の指導等に関する実態調査
工藤 滋原 早苗岡 愛子和田 恒彦
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キーワード: 視覚障害, パルス, 指導, 触診, 教員
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2016 年 41 巻 2 号 p. 43-50

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抄録

【目的】坐骨神経鍼通電は臨床上有用な治療法であるが、その習得は容易ではない。そこで、視覚特別支援学校における坐骨神経鍼通電の指導の状況等に関する実態調査を行い、指導の困難さの要因を明らかにしていくこととした。 【方法】対象:専攻科理療科を設置している盲学校56校の鍼実技担当理療科教員56名。 手続き:郵送による無記名自記式質問紙法とした。 【結果】回答者は40名、回収率は71.4%であった。坐骨神経パルスを指導すると答えた者は7割を超えていたが、大部分の生徒が坐骨神経パルスを治療に使用できる、と答えた者は半数程度と少なかった。パルスの指導が難しいと感じる生徒の状況については、他のパルスがいずれも「時間がかかりすぎるから」であったのに対して、坐骨神経パルスでは「正確な刺鍼部位を触診できないから」であった。最も簡単だと感じるのは脊柱起立筋パルス、最も難しいと感じるのは坐骨神経パルスで、その理由は目的の組織を体表から触れられるか否かであった。坐骨神経パルスの刺鍼部位として指導している部位は担当している教員でばらばらであったが、その部位で指導している理由は決めやすさからであった。 【考察】坐骨神経パルスは、指導しているにも関わらず治療に使用できる状態にない生徒が多く、最も指導の工夫が必要な治療法であると考えられた。坐骨神経パルスは他のパルスと比べて、指導に際して生徒に求める事項が多く、特に刺鍼部位の触診に課題があるととらえている教員が多いことが明らかとなった。坐骨神経パルスを最も難しいと感じた要因は、2つの体表指標間を等分する刺鍼部位の決定方法にあると考えられた。パルスの難易度の意識に影響を及ぼす最も大きい要因は、目的の組織を体表から触れられるか否かという点であった。

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© 2016 一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
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