抄録
【目的】肩こりに対する低周波鍼通電療法(以下 EAT)の影響を明らかにすることおよび肩こりの程度と関連する測定項目を検討すること。
【方法】対象者は、本研究の主旨と概要を説明し同意が得られ、頸・肩上部に1年以上肩こりを自覚している8 名(男3名、女5名、年齢30.9±5.5歳)で、除外条件に該当しない者とした。治療肢位は腹臥位、刺鍼部位は肩こりの自覚が強い頸部外側または後側と肩上部の僧帽筋の左右2部位ずつ合計4部位とし、筋肉の押圧や把握により愁訴が再現した部位とした。使用鍼は長さ50mm、太さ0.2mmの単回使用鍼を使用し、刺入深度は筋内に達する深さとし、1Hz、15分間のEATを行った。EATは1週間に2回(2~3日に1回の頻度)、2週間で合計4回行った。測定項目は、肩こりの程度(VAS)、筋硬度(肩井、肩外兪穴相当部位)、頸部側屈時の乳様突起-肩峰間距離および伸張痛の程度、圧痛の程度(風池、肩井、肩外兪穴相当部位)とした。測定は、同一の測定者が治療開始前、治療期間終了時、治療期間終了後7 日、14日に行った。統計処理は、一元配置分散分析、ダネット法、ピアソンの相関係数の検定、スピアマンの順位相関係数の検定で検定した。有意水準は5%とした。
【結果】肩こりおよび頸部側屈時の伸張痛の程度は、治療開始前と比べ治療期間終了時に有意に低下した。治療開始時の肩こりの程度は、頸部側屈時の伸張痛の程度と圧痛の程度(肩外兪穴相当部位)との間、治療期間前後の肩こりの程度の変化量は、筋硬度(肩井穴相当部位)と頸部側屈時の伸張痛の程度の各変化量との間に有意な正の相関を認めた。
【結語】肩こりを自覚する者に対してEATの治療頻度を考慮することにより肩こりおよび頸部側屈時の伸張痛の程度の軽減が認められた。頸部側屈時の伸張痛の程度は、肩こりの程度と相関が認められたことから、治療前後に肩こりの程度を聴取することで、伸張痛の効果判定となる可能性がある。