抄録
【目的】
頸肩部の痛みを持つ被験者に押圧刺激を行い、刺激前後などの症状の変化と血圧・心拍数の変化 について検討した。
【方法】
研究は、実験について書面にて説明を行い、同意が得られた頸肩部痛がある成人 27 名(平均年齢 45.0 ± 19.7 歳)を対象に行った。 押圧刺激は、腹臥位にて頸肩部の軽擦、肩上部の母指圧迫、後頸部の四指揉捏、分界項線部の母 指圧迫、さらに頸肩部の軽擦を順に 15 分間で行った。押圧強度は、押圧力を約 10kgとして刺激前 に確認した上で実施した。
測定は、刺激前後に頸肩部痛の強さを Visual Analogue Scale (VAS)、自動血圧計を用い背臥位にて 血圧、心拍数を測定した。また、刺激中の心拍数は、光学式心拍センサーを用い 1 秒毎に記録した。 さらに、刺激後に被験者と施術者のそれぞれから押圧の自覚的強度を聞き取り記録した。 統計処理は StatView5.0 にて、対応のある t 検定、ピアソンの相関係数の検定、スピアマン順位相 関係数の検定にて有意検定と相関係数を算出した。
【結果】
刺激により頸肩部痛 VAS 値は、刺激前 64.6 ± 20.0mmから刺激後 14.8 ± 11.3mmと有意な低下 (p<0.05) がみられた。心拍数は、刺激前 69.8 ± 12.0 拍 / 分から刺激後 63.5 ± 10.6 拍 / 分となり、有意な低 下 (p<0.05) がみられた。刺激前後の変化量の相関について、頸肩部痛の VAS と心拍数は r=0.34 と弱い相関がみられた。また頸肩部痛の VAS と被験者の押圧の自覚的強度には r=0.38 と弱い相関 が有意(p<0.05)にみられた。刺激中の心拍数は、上下に変動をしながら徐々に低下した。
【考察】
刺激により頸肩部痛の VAS や心拍数が低下したことから、副交感神経活動を増大させ、症状の軽 減への関与が伺われた。また、頸肩部痛の VAS と被験者の押圧の自覚的強度に相関がみられたこ とから、被験者にある程度の刺激強度を感じることで症状を軽減させることになると思われた。 さらに、刺激が症状に与える影響は心拍数から心拍数から伺い知ることの一助となると思われた。
【結語】
押圧刺激による頸肩部痛 VAS の変化と心拍数、被験者の押圧の自覚的強度に相関が伺われた。