日本東洋医学系物理療法学会誌
Online ISSN : 2434-5644
Print ISSN : 2187-5316
報告
刺鍼時の「ひびき」が運動機能へ与える影響
古田 高征
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2023 年 48 巻 2 号 p. 113-121

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抄録
【目的】鍼による「ひびき」が誘発されやすい組織としては、筋膜などが知られるが、その影響などについて分からないことが多い。そこで刺鍼時にひびきが起きた際の鍼の到達組織、膝関節伸展筋力などを指標にひびきを伴う鍼刺激が与える影響について検討した。
【方法】対象は、説明を行い同意を得られた健康成人 15 名(平均年齢 32.4±6.3 歳)とした。刺鍼部位は、右または左の下腿部の「足三里・豊隆」を下腿群、大腿部の「髀関・梁丘」を大腿群とした。鍼刺激は、刺鍼前に超音波画像診断装置にて撮影後に行い、被験者にはひびき感覚が誘発 された時に合図をしてもらい、直ちに鍼の刺入深度を測定記録した。測定は伸縮力計(デジタル フォースゲージ DPS-50R)を用い、数回の予備運動後に左右の膝関節伸展筋力を刺鍼の前後に刺 激側および反対側を測定した。また、鍼のひびきの強さおよび下肢の重だるさを Visual Analogue Scale(以下、VAS)を用い、刺鍼前後に記入させた。
【結果】ひびきを伴う鍼刺激が膝関節伸展筋力に与える影響では、刺激の前後で下腿群・大腿群の 刺激側で増大し、筋力の変化率は、大腿群の刺激側では 105.4±8.5%、下腿群では 107.9±8.9% であった。下腿群の刺激の反対側では 105.1±6.8%、下腿群の刺激側は、他に比べ高い傾向が(p<0.1)がみられた。さらにひびきの強さと筋力変化率の関係において、下腿群および大腿群の 刺激側は負の弱い相関、下腿群の反対側では正の弱い相関がみられた。
【考察】鍼のひびきと膝関節伸展筋力の変化率は、下腿群の刺激側と反対側で異なる変化が伺われた。体質や病態および刺激感受性を考慮した鍼刺激を行うことで、運動機能を高められるのではないかと推測された。
【結語】刺入深度とひびきの強さについて有意差はなかったが、筋膜近傍の深度でひびきが発生し ていることが伺われた。ひびきの強さと筋力の関係では、鍼刺激の前後で筋力が増大し、刺激側のひびきの強さと伸展筋力は弱い負の相関がみられた。
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© 2023 一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
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