抄録
目的:神経障害性疼痛の臨床症状から,ガバペンチンの鎮痛効果を予想できるかを検討した.
方法:神経障害性疼痛の患者におけるガバペンチンの鎮痛効果に関係がある臨床症状を抽出するため,後向きコホート研究でロジスティック解析を行った.つぎに抽出した臨床症状の有無による鎮痛効果の違いを,前向きコホート研究で確認した.
結果:後向きコホート研究(n=53)では,ガバペンチンで痛みが軽減する補正オッズ比はアロディニアがある場合は11.43(1.87-70.06)で,異常感覚がある場合は0.08(0.01-0.74)で,アロディニアと異常感覚がガバペンチンの鎮痛効果の予測因子として抽出された.前向きコホート研究(n=24)では,アロディニアの有無は,ガバペンチンを含むさまざまな治療の鎮痛効果に明らかな関連はなかったが,異常感覚がない場合は,ある場合に比べて,ガバペンチンで痛みが軽減する因子であった.
結論:ガバペンチンの鎮痛効果は,異常感覚の有無で予測できる可能性があり,異常感覚がない神経障害性疼痛の患者では,異常感覚がある患者より,ガバペンチンで痛みが軽減する可能性が高い.