日本ペインクリニック学会誌
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症例
多発性硬化症による症候性三叉神経痛に対して高周波熱凝固療法が有用であった1例
又吉 宏昭三宅 奈苗福田 志朗
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2020 年 27 巻 1 号 p. 52-55

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抄録

多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)による症候性の三叉神経痛(trigeminal neuralgia:TN)に対して治療を行った症例を経験した.症例は48歳,女性.約20年前から左上肢の筋力低下や複視などを自覚するようになり,神経内科でMSと診断された.これまでにステロイドやインターフェロン治療を行い,寛解・再発を繰り返しながら加療されていた.2年前から右舌裏部を中心とした痛みを自覚しプレガバリンが使用されたが,少量でもふらつきが強く中止され当科に紹介された.カルバマゼピン,レベチラセタム,トラマドールを使用したが効果はなかった.右下顎神経高周波熱凝固の施行後に痛みは消失し,会話・食事・歯磨きなどが行えるようになった.MSによる症候性TNに対する三叉神経ブロックは,典型的TNよりも有効性は低く,除痛期間も短いといわれているが,薬物治療の効果が乏しい場合には試みる価値があると思われる.

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© 2020 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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