会陰部痛の原因疾患はさまざまで治療は確立していない.今回,S状結腸切除術後の会陰部痛患者に対し不対神経節ブロックを行ったところ,会陰部痛が消失し,虚血性腸炎様変化が改善した症例を経験した.症例は48歳男性で,S状結腸切除術7カ月後から排便時に増悪する会陰部痛が出現し,下部内視鏡検査で吻合部から肛門側の虚血性腸炎様変化を認めた.透視下不対神経節ブロック(無水エタノール注入,高周波熱凝固)を施行したところ,治療後徐々に痛みが軽減し,5カ月後に痛みが消失した.痛み消失後の下部内視鏡検査で,虚血性腸炎様粘膜の改善を認めた.不対神経節ブロックによる血流改善効果は過去に報告がないが,本症例では会陰部痛が改善し,ブロック5カ月後時点で腸管血流が改善している可能性が考えられた.