2024 年 60 巻 2 号 p. 261-265
Ebstein病の中でもcircular shunt(CS)合併例は胎児水腫や子宮内胎児死亡のリスクが高い.近年,重症Ebstein病に対する母体非ステロイド性抗炎症薬(Non-steroidal anti-inflammatory drugs:以下NSAIDs)投与の有効性が報告されている.症例:29歳,3妊2産.23週に三尖弁逆流,右房拡大を指摘され,28週4日に当院紹介受診,CS合併のEbstein病と診断.32週1日に心拡大が増悪し,32週3日に母体NSAIDs投与を開始.胎児水腫への進行はなく,37週3日に帝王切開術にて出生(2,963g,Apgar score:8(1分)/8(5分)).日齢15に修正Starnes手術,月齢8にGlenn手術を施行した.母体NSAIDs投与は重症Ebstein病の心不全進行を抑え,予後の改善につながる可能性がある.