日本小児外科学会雑誌
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経膣分娩時に胃および腹部食道破裂を生じた腹壁破裂の1治験例
石川 正美渡井 有飯島 恒司能勢 孝一郎
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1993 年 29 巻 5 号 p. 1044-1049

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抄録
症例は在胎34週6日で出生前診断され,母体入院となった腹壁破裂である.在胎36週0日,頭位自然分娩で出生したが,出生後腹壁破裂とともに,胃および腹部食道の小弯側に縦走する破裂孔を認めた.他に合併奇形はなく,出生後2時間で破裂部縫合閉鎖,胃瘻造設,腹壁破裂一期的閉鎖術を行なった.感染症も含めて術後合併症もなく,術後44日目に退院となった.当院では腹壁破裂が出生前診断された場合,母体搬送して入院させ,超音波検査にて経過観察している.この間,脱出腸管の異常などの所見が認められなければ妊娠を継続させ,経膣分娩を原則としている、分娩は新生児科医,小児外科医立会いのもとで行い,出生後は速やかに一期的腹壁閉鎖術を施行している.本症例における消化管破裂は脱出臓器の産道における圧迫の結果と考えられたが,経膣分娩時の通常の圧では消化管破裂は生じ難いと考えられ,その破裂機序について考察した.また出生前診断された腹壁破裂の分娩形式についても考察した.
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© 1993 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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