日本小児外科学会雑誌
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高位空腸閉鎖手術における一工夫
宮野 武細田 弥太郎下村 洋徳丸 忠昭浦尾 正彦
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1993 年 29 巻 7 号 p. 1277-1280

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抄録

高位空腸閉鎖は,術後吻合部の開存が保たれているにもかかわらず,拡張部腸管の残存によりしばしば通過障害を示すことが知られている.今回我々は,ロ側の拡張した十二指腸一空腸の縫縮術と閉鎖部の端々吻合に関し若干の工夫を行い,良好な結果を得たので報告する.症例は,胎児超音波検査にて上部消化管の拡張,出生後の腹部単純X線像にて triple bubble, 注腸造影にて unused colon を示し,高位空腸閉鎖と診断し,生後1日目に手術を施行した.開腹時,口側空腸,十二指腸の著明な拡張を認め,ロ側空腸の縫縮を吻合部直前で止め,三点縫合を避け肛門側空腸と端々吻合した.さらに Treitz 靭帯を解除, non-rotation 状態にして小腸屈曲を回避する方法を行った.その術後経過は順調であり,同年齢の児と同程度の体重増加が得られている.これら2点を特徴とした術式は報告例がなく,今後推奨できる方法と思われた.

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© 1993 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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