日本小児外科学会雑誌
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出生前診断された胸水を伴う葉外性肺分画症の1例
堀沢 稔新実 紀二久野 邦義
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キーワード: 肺分画症, 胸水, 出生前診断
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1993 年 29 巻 7 号 p. 1324-1329

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抄録
私どもは出生前診断された胸水を伴う葉外性肺分画症の1例を経験した.胸水を伴う肺分画症の報告は極めて少なく,治療も困難な場合が多いので報告した.症例は胎生34週に,超音波検査にて胸水を伴う左葉外性肺分画症と診断され,胎生35週1日,経膣分娩にて出生,生下時体重は2473g であった.出生直後より呼吸障害が有り,生後すぐ挿入された胸腔ドレーンからは胸水の排液が持続した.約3週間の呼吸管理後,患児の循環呼吸動態の安定化が得られたので,開胸,葉外性分画肺を切除した.分画肺切除後,胸水は消失し,以後経過良好であった.胸水を伴う肺分画症は文献上,20例検索し得た.予後は極めて不良で,胎児水腫の合併例には生存例はなかった.また胸水により引き起こされると思われる肺低形成は周産期の大きな死亡原因となっている.自験例には出生時,胎児水腫,肺低形成を認めなかったため生存し得たと考えられた.
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© 1993 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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