日本小児外科学会雑誌
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実験的壊死性腸炎の病変進展中における白血球の関与
高橋 篤西田 朗長町 幸雄服部 徳昭松山 四郎
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1994 年 30 巻 2 号 p. 244-250

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抄録
新生児壊死性腸炎と白血球の関連を検討するため,ラットに小腸60分虚血後再灌流モデルを作製.白血球減少ラットも用いて,(1)虚血再灌流中の循環血液ヘマトクリット値,白血球数, 血小板数の変動と,(2)循環血中多核白血球機能(O_2~産生能)の変動を測定し,(3)再灌流後の局所粘膜障害程度の比較・検討も行った.その結果,(1)白血球数は虚血再灌流中に減少し,血小板数は大きな変動がなかった.(2)白血球O_2~産生能は虚血中に変化なく,再灌流15分後に低下し,60分後に再灌流15分後と比べ上昇した.(3)循環血液は虚血再灌流中に濃縮状態が進展し,再灌流後の進展は白血球減少ラットに軽度であった.(4)再灌流後に小腸粘膜障害を認め,この病変は白血球減少ラットに軽度であった.(5)再灌流後の虚血局所粘膜内に白血球浸潤も認めた.以上の事実から,(1)循環血中白血球群の性状は虚血再灌流を契機に変化をきたすこと, (2)白血球は腸管粘膜障害の進展に関与すること, (3)腸管の虚血再灌流機序は循環血液濃縮状態を招来すること, (4)この血液濃縮の進展にも白血球の関与が重要であることなどが示唆された.新生児壊死性腸炎の病変進展にも同様な白血球関与の障害機序が係わっていると思われる.
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