2019 年 75 巻 6 号 p. II_209-II_218
水道管網は生活用水の供給に加え,消火時の瞬間的かつ多量のパルス水量にも対応するために,余裕のあるサイズで設計される.しかし,消防水利に関する法的な根拠があるにも関わらず,水道と消防の費用負担を明確化する理論が無いために口径拡大分についても水道側が費用をこれまで負担することが多くあった.そこで,消火用水が管網整備にもたらす追加的費用の算定手法として消火時シミュレーションを内在化した島モデル遺伝的アルゴリズム(GA)を提案し,自然流下式の実管網に適用した.その結果,提案モデルが消火時の水理機能を満たす管網を形成可能であることを確認すると共に,並列計算を併用することで管網整備費用の負担比率を現実的な時間で導出できることが明らかとなった.高速で汎用的な提案モデルは今後様々な管網でも適用可能であると期待される.