抄録
症例は2 歳の女児で,約6 週間の発熱を主訴に当院へ紹介となった.右下腹部の上前腸骨棘内側に腫瘤を触知し,超音波検査および造影CT にて長径6 cm 大の右腸腰筋膿瘍を認めた.腹腔鏡にて検索したところ,虫垂および卵巣は正常で,隣接する盲腸にも異常所見を認めず.他の感染源を認めなかったため原発性腸腰筋膿瘍と考えられた.膿瘍の穿刺吸引および抗生剤投与では症状が改善せず,小切開によるドレナージにより速やかに解熱をえた.穿刺やドレナージは,腹腔鏡の所見をもとに腹膜外アプローチで安全に施行することが可能であった.膿の細菌培養検査では起因菌は同定できなかった.自験例を含めた本邦での小児腸腰筋膿瘍17 例の集計では,原発性が53%で,起因菌はS. aureus が53%であり,治療法として切開や穿刺によるドレナージが71%に施行されていた.