【目的】胃食道逆流症(以下GERD)は重症心身障害児(重心児)に合併することが多く,QOL や生命予後を左右する因子として重要であるが,重心児では症状の訴えが明確でないため診断は容易ではない.これまでGERD の診断にはpH モニタリングが標準的に用いられてきたが,この方法は食道内のpH 変化を測定するためnon-acid reflux は検出できなかった.今回われわれは逆流物のpH に影響されない24 時間多チャンネルインピーダンス-pH モニタリング(MII/pH) を用いて重心児でのGERD の特徴を検討した.
【対象と方法】6 例の重心児(男:女4:2)においてMII/pH を施行し結果を解析した.年齢の中央値は15.5(12~28)歳で,経口摂取1 例,経鼻胃管栄養4 例,胃瘻栄養1 例であった.各症例においてpH index,bolus exposure index,acid reflux/non-acid reflux 回数,proximal reflux 回数を解析した.
【結果】6 症例での総逆流回数は499 回でacid reflux は440 回(88.1%),non-acid reflux は59回(13.4%)であった.pH index は5 例がカットオフ値4.0%を超えていた.Bolus exposure index は5 例がカットオフ値1.4%を超えていた.全例でnon-acid reflux が観察されたが,全例でacid reflux の割合が優位であった.また,proximal reflux は3 例で50%を超えていた.
【結論】重心児のGERD にもnon-acid reflux が関与しており,MII/pH は重心児の胃食道逆流(GER)評価に有用であると考えられた.
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