抄録
【目的】囊腫型消化管重複症(以下本症)では隣接する正常腸管を含めた全摘術が一般的に行われているが,回盲部温存のために粘膜抜去術が行われることがある.今回,自験例における粘膜抜去術と正常腸管合併切除術の成績について検討した.
【方法】過去17 年間に当科で治療された9 例の消化管重複症(回盲部5 例,回腸4 例)を対象に,粘膜抜去術施行群(以下I 群),正常腸管合併切除群(以下II 群)に分け後方視的に検討した.
【結果】全例が囊腫型であった.9 例中I 群は6 例(回盲部3 例,回腸3 例),II 群は3 例(回盲部2 例,回腸1 例)であった.それぞれの平均手術時間は127 分,145 分,平均出血量は42.0 ml,27.3 ml,平均経口摂取開始時期は術後4.0 日,5.3 日であった.II 群の内,回盲部切除を施行した1 例で術後の下痢を認めた.術後の合併症,再発は全例に認めていない.
【結論】本症の治療において,粘膜抜去術と全摘術との間に明らかな成績の差はなく,粘膜抜去術は特に回盲部切除を回避する目的で選択すべき術式であると考えられた.