2018 年 54 巻 2 号 p. 273-279
先天性膀胱憩室は比較的稀な疾患の一つであり,その多くは憩室切除術が行われているが膀胱頸部に発生したものは尿管損傷や膀胱神経を損傷するリスクがあることが知られている.今回われわれは排尿障害を主訴に来院した巨大膀胱憩室症例(以下本症)に対してまず腹腔鏡下に左尿管が憩室表面を乗り越えて走行する様子を確認し,憩室切除術では尿管損傷のリスクがあると判断した後,憩室漿膜側の剥離を行わない術式として憩室粘膜抜去,憩室筋層縫縮術を行った.また本症は左尿管口が憩室内に開口していたため逆流防止機構が機能しない可能性があると判断し新尿管膀胱吻合(Cohen法)を追加した.術後経過は良好であり術後膀胱造影では憩室は消失し,膀胱の伸展性は良好で残尿は認めなかった.超音波検査では憩室筋層縫縮部の明らかな壁肥厚は認めなかった.術後13日目に軽快退院した.本術式は膀胱頸部巨大憩室症例において考慮されうる術式であると思われた.