2018 年 54 巻 4 号 p. 973-977
今回,我々はメッケル憩室の茎捻転を原因とした急性腹症を呈し,緊急手術を行った2例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例1:7歳男児.嘔吐と右下腹部痛を主訴に前医を受診した.CTで虫垂近傍に液体貯留を認め,穿孔性虫垂炎による膿瘍形成が疑われ当院に搬送された.腹腔鏡で観察すると,虫垂に炎症を認めなかったが,近傍に茎部で270度捻転したメッケル憩室を認めた.臍部ポート創部を延長し,メッケル憩室を体外に誘導し,小腸部分切除を行った.症例2:6歳男児.嘔吐,腹痛を主訴に当院に搬送された.CTで空腸が拡張しており,内ヘルニアを疑い緊急手術となった.開腹すると,メッケル憩室が540度茎捻転を起こしていた.捻転を解除した後,小腸部分切除術を行った.メッケル憩室の捻転は稀な病態であるが急性腹症の鑑別診断として考慮すべき病態である.