2018 年 54 巻 7 号 p. 1384-1387
青色ゴムまり様母斑症候群(blue rubber bleb nervus syndrome,以下BRBNS)は,主に皮膚と消化管に静脈奇形(venous malformation,以下VM)を形成する全身疾患である.消化管出血により貧血を呈することが多く,保存的加療もしくは内視鏡による焼灼術を行う.今回,5歳女児に対してダブルバルーン内視鏡(double balloon endoscopy,以下DBE)下にアルゴン・プラズマ凝固(argon plasma coagulation,以下APC)を行ったところ処置翌日に,小腸壁の血腫を形成し壁外圧迫によるイレウスを呈した症例を経験した.経鼻胃管による保存的加療では奏功せず,更に消化管穿孔を発症したため緊急開腹手術を行った.外科治療を必要としたBRBNSの症例は複数報告されているが,本症例はDBEによる処置に伴って出血さらには穿孔をきたしたと考えられ外科治療を要した.DBEは全腸管の検索が行え有用であるが,予期せぬ合併症に対して注意が必要である.