日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
原著
小児急性虫垂炎の進行に伴う虫垂内細菌叢の検討
安藤 亮伊勢 一哉
著者情報
キーワード: 虫垂炎, 小児, 細菌叢, 抗菌薬
ジャーナル フリー

2019 年 55 巻 2 号 p. 231-235

詳細
抄録

【目的】急性虫垂炎では術後の細菌合併症予防のために適切な抗菌薬を使用する必要がある.虫垂炎手術症例での虫垂内細菌叢を検討し,周術期に使用する抗菌薬選択の参考とすることを目的とした.

【方法】2012年1月~2017年6月に当科で手術を施行した小児急性虫垂炎症例47例中,術中検体から細菌が検出された40例について後方視的に検討した.虫垂内容ぬぐい液もしくは腹腔内の膿汁を細菌培養検査に提出した.発症からの日数および炎症の程度でそれぞれ2群に分けて,各菌の検出率の差を検討した.

【結果】40例中E. coliが28例(70%),Bacteroides fragilisが15例(38%),Enterococcus sp.が14例(35%),Bacillus sp.が11例(28%),Pseudomonas aeruginosaが10例(25%),Streptococcus sp.が7例(18%)で検出された.発症からの日数の経過および炎症の進行に伴い,Enterococcus sp., Pseudomonas aeruginosaの検出率が増加した.

【結論】発症から2日以上経過した症例や壊疽性虫垂炎ではEnterococcus sp., Pseudomonas aeruginosaに対する感受性を考慮して抗菌薬を選択する必要があると考えられた.

著者関連情報
© 2019 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top