2019 年 55 巻 4 号 p. 876-880
肛門病変を契機にクローン病(CD)と診断した年長児の3症例を経験したので報告する.症例は8,11,10歳の男児で,それぞれ当院受診の2年,2か月,1か月前から他医で肛門病変に対して治療を受けていたが改善せず来院した.腹部症状はなかったが,3症例とも貧血,白血球増多,CRP上昇を認めたためCDを疑い,全身麻酔下に内視鏡検査を施行した.大腸および小腸にアフタ性潰瘍を認め,小腸大腸型CDと診断した.また成長曲線において体重は3症例で,身長は2症例で下方への逸脱を認めた.CDは肛門病変が腹部症状に先立ち発症することが少なくない.年長児に肛門病変,また身長,体重の増加不良を認めた場合,CDを念頭におき内視鏡検査で診断していく必要がある.