日本小児外科学会雑誌
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原著
胆道閉鎖症の早期発見における便色カードの有用性の検討
横井 暁子磯野 香織
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2019 年 55 巻 5 号 p. 945-950

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抄録

【目的】2012年より母子健康手帳に添付された便色カードが胆道閉鎖症の早期発見及び病的出血例の減少に寄与したかを明らかにすることを目的とした.

【方法】対象は2005年から2018年までに当院で葛西手術を受けた胆道閉鎖症41例で,カルテより後方視的に,便色カード添付前の27例(前群)と添付後の14例(後群)及び病的出血があった13例(有り群)と無かった28例(無し群)で,入院日齢,葛西手術日齢をそれぞれ比較した.また胆道閉鎖症の早期発見のための便色カードについて日本小児科学会兵庫県地方会会員を対象にメールでアンケートを配布した.

【結果】入院日齢は前群64日(8~102日),後群62日(0~86日),病的出血は前群8例(29.6%),後群5例(35.7%),葛西手術日齢は前群70日(22~111日),後群69.5日(25~97日)で差を認めなかった.病的出血の有無では,入院日齢は有り群66日(43~86日),無し群52日(0~86日),葛西手術日齢は有り群74日(59~97日),無し群59.5日(22~111日)で,有り群が入院日齢(p=0.03),葛西手術日齢(p=0.01)とも有意に遅かった.アンケート調査は42施設から回答を得た.87%の医師が,便色カードは胆道閉鎖症の早期発見に有用と考えていたが,86%の医師が,啓蒙が必要と回答した.

【結論】便色カードの母子健康手帳の添付は,早期発見及び病的出血例の減少には寄与していなかった.病的出血を予防するためにも早期発見の重要性が示唆された.養育者及び,産科医,小児科医,保健師を含めた医療従事者への啓蒙が必要と考えられた.

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