2019 年 55 巻 6 号 p. 1106-1111
症例は1歳女児.主訴は腹痛.近医を受診し,諸検査で右側腹部に石灰化を伴う10 cmの腫瘤を認めたため,卵巣腫瘤捻転を疑われて当院へ紹介された.当院入院時の腹部エコーにて腫瘤内に血流信号を認めたため,緊急性はないものと判断した.翌日,貧血と炎症反応増強を認め,前医MRI画像の再読影にて子宮捻転と診断されたため緊急手術を施行した.開腹所見では腫瘤の捻転は認めなかったが,子宮は時計廻りに180度捻転しており鬱血状態であった.左卵巣腫瘤が右側腹部に移動したため牽引されて子宮捻転を発症したと考えられた.腫瘤は核出術を施行し,子宮は捻転解除して色調が改善したため温存とした.卵巣腫瘤は病理学的に奇形腫と診断された.子宮捻転は子宮が長軸を中心に45度以上回転したものと定義される非常に珍しい疾患で,多くは妊婦や子宮筋腫をもつ中高年に認められる.筆者の調べた範囲では本邦2例目の小児例で,世界で最年少であった.