日本小児外科学会雑誌
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症例報告
出生前診断された陰囊内精巣腫瘍の1例
杉田 光士郎野口 啓幸後藤 倫子鈴東 昌也松久保 眞武藤 充切原 奈美末吉 和宣上塘 正人家入 里志
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2019 年 55 巻 7 号 p. 1187-1192

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抄録

症例は日齢2,男児.在胎34週の母体超音波検査で左精巣に囊胞性病変を指摘されていた.在胎37週2日,2,890 g,帝王切開分娩で出生した.出生後のMRI検査では10 mm大の囊胞性病変を認め,明らかな充実成分・脂肪成分は指摘されず,単純囊胞や類表皮囊胞が疑われ,生後1か月時に手術を施行した.手術所見は精巣実質と境界明瞭な単房性囊胞であり,囊胞のみを核出した.病理検査では囊胞壁内に扁平上皮と一部脂肪を含む線維筋性組織,腸管組織を認め,成熟囊胞奇形腫の診断であった.陰囊内精巣腫瘍が出生前診断されることは非常に稀で,発生頻度的には圧倒的に胚細胞腫瘍が多いが,本症例では画像所見上,充実成分を全く認めず,精巣囊胞が最も疑われた.新生児精巣腫瘍において囊胞のみの病変であっても胚細胞腫瘍を念頭に診断・治療を行う必要がある.

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