日本小児外科学会雑誌
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症例報告
卵巣囊腫との鑑別が困難であった有茎性大網囊胞を含む多発性大網囊胞の1例
宮國 憲昭古村 眞合原 巧花田 学尾花 和子鷹野 夏子左 勝則金 玲石澤 圭介佐々木 惇
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2020 年 56 巻 3 号 p. 309-313

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抄録

症例は13歳女児.腹痛を主訴に近医受診し,卵巣囊腫茎捻転疑いにて当院産婦人科紹介受診.疼痛部位は右上腹部であり,同部に腹腔内囊胞を認め当科紹介となった.腹部超音波検査・CT検査施行し,右上腹部肝下面には90 mmの多房性囊胞,骨盤内には115 mmの単房性囊胞を認めた.右上腹部囊胞に炎症所見があったため抗生剤投与を行ったところ,症状・炎症反応は著明に改善し,右上腹部囊胞は40 mmに縮小.3か月後に腹腔鏡による両囊胞摘出術の方針とした.術前診断は大網囊胞(右上腹部囊胞)と卵巣囊腫(骨盤腔内囊胞)とした.手術所見では,右上腹部囊胞は大網内に存在し,炎症による周囲組織との癒着を認めた.骨盤内囊胞は大網から続く捻転した茎を有する大網囊胞であった.今回我々は卵巣囊腫と鑑別が困難であった有茎性大網囊胞を含む多発性大網囊胞の1例を経験した.骨盤内囊胞性病変の鑑別として有茎性大網囊胞は一考の余地があると考えた.

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