2020 年 56 巻 4 号 p. 370-375
【目的】小児複雑性虫垂炎のより良い治療法を,interval appendectomy(以下IA)脱落予測因子と治療成績を踏まえて検討した.
【方法】対象は2009年1月~2018年12月に当院で治療した複雑性虫垂炎144例.緊急手術群と抗生剤加療先行のIA企図群に分け治療前評価項目を比較した.IA企図群をIA成功群,IA脱落群,IA非実施群に細分し,IA成功群とIA脱落群の比較からIA脱落予測因子を抽出した.治療成績は緊急手術群,IA成功群,IA脱落群の3群間で比較した.手術は全例腹腔鏡下で行った.
【結果】緊急手術群104例,IA企図群40例(IA成功群25例,IA脱落群9例,IA非実施群6例).IAは,下痢があり,CRP高値,大きな膿瘍形成があり,診断までに日数を要した症例に選択される傾向にあった(全てp<0.01).糞石有りの症例は緊急手術を選択する傾向にあった(p=0.006).IA企図の場合,IA脱落群はIA成功群に比べ,年齢が高く,虫垂は太く,糞石を認めたが,膿瘍は小さい傾向だった(全てp<0.04).IA脱落予測因子は糞石有りと膿瘍最大径の2因子で,特に糞石有り(オッズ比25.06)は重要な因子となった.治療成績では,手術時間はIA成功群が,総入院日数は緊急手術群が有意に短かった(共にp<0.001).開腹移行はIA脱落群に多かった(p=0.01).
【結論】複雑性虫垂炎の治療成績では,IAは手術時間が短く,緊急手術は総入院日数が短い利点があった.しかしながら,糞石有りの症例はIA企図から脱落する可能性が示唆され,治療法を選択する上で留意が必要である.