日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
原著
小児慢性機能性便秘症に対するポリエチレングリコール製剤の使用経験
井深 奏司窪田 昭男児玉 匡阪 龍太
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2022 年 58 巻 6 号 p. 890-896

詳細
抄録

【目的】小児慢性機能性便秘症(以下,本症)に対するマクロゴール4000配合内容剤(モビコール®配合内容剤,EAファーマ株式会社,東京,以下モビコール®)の使用症例における有効性を検討した.

【方法】2018年11月から2019年5月の間にモビコール®の投与を開始した小児例を対象とし,本症に対して内服歴のない初回治療群および酸化マグネシウム,ピコスルファートナトリウムのいずれかもしくは両方で先行治療を受けていた移行群の2群に分類した.患者背景,内服の可否,投与前後の排便回数,便性,グリセリン浣腸の有無,本症診断基準項目数,有効性,副作用の有無について診療録に基づき後方視的検討を行い,満足度調査を電話アンケートで行った.

【結果】対象は36例で,初回治療群は8例,移行群は28例であった.モビコール®の内服は,33例(91.7%)で可能であった.両群で排便回数の増加,移行群では便性の改善が有意に認められた.両群ともほぼ全例で浣腸が不要になった.内服開始2~4週間後で初回治療群6例(85.7%)と移行群21例(80.8%)でモビコール®は有効と判定され,内服開始後1年半~2年で初回治療群5例(100%)と移行群25例(100%)と内服継続可能であった30例全てで有効性が確認された.副作用として1例で下痢を認めたが,重篤な有害事象は認めなかった.患者満足度アンケートの回収率は,33例(91.7%)で平均は10段階評価で7.3であった.

【結論】モビコール®は91.7%の児で内服可能であり,初回投与群,移行群いずれも本症に有効であり,第1選択になりえると考えられた.

著者関連情報
© 2022 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top