日本小児外科学会雑誌
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症例報告
待機的に一期的根治術を施行したS状結腸における先天性限局性腸管拡張症の1例
高山 慶太梅田 聡𠮷田 美奈堺 貴彬宇賀 菜緒子前川 昌平山道 拓臼井 規朗
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2022 年 58 巻 6 号 p. 912-918

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抄録

限局性腸管拡張症は,腸閉塞機転がなく腸管神経叢の形態異常を認めないにもかかわらず,腸管が限局性に拡張を呈する疾患で,新生児期から拡張を認めるものは先天性限局性腸管拡張症として報告されている.治療は拡張腸管の切除であるが,拡張腸管が結腸にある場合,一時的な人工肛門造設やendorectal pull-through法が施行されることもある.我々は新生児期に発見され,拡張腸管の減圧によって待機的に根治手術を施行したS状結腸における先天性限局性腸管拡張症の1例を経験したので報告する.症例は在胎37週3日,2,274 gで出生した男児.単純X線写真にて腸管拡張を指摘されて日齢1に当院へ紹介された.下部消化管造影検査にてS状結腸に限局性の拡張を認めたが,口側・肛門側の腸管径は正常であった.拡張腸管の減圧によって管理を行い,待機的に生後9か月で拡張腸管切除術を行った.術後9か月の現在,体重は増加しており,排便障害もなく外来経過観察中である.

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