2024 年 60 巻 4 号 p. 708-712
木村病(軟部好酸球性肉芽腫症)は,東アジア地域で若年男性の頭頸部に好発する比較的稀な疾患で,血液中の好酸球や血清IgE値の上昇を伴い,多くは無症状である.今回我々は,発症部位として稀な左上腕遠位部の皮下腫瘤として発症した木村病の1例を経験したため,当院での過去の木村病症例と文献的考察を加え報告する.症例は11歳,男児.1年前より自覚する左上腕腫瘤を主訴に当科を紹介受診された.左上腕遠位部外側の皮下に,約3 × 3 cm大の無痛性で軟らかい腫瘤と末梢血好酸球増多,血清IgE値の上昇を認めた.超音波検査では血流豊富な低エコー腫瘤を呈し,造影CT検査では早期,遅延相とも同等の造影効果を有する腫瘤及び多発性リンパ節腫大を認めた.切除した腫瘤の病理組織学的検査ではリンパ組織の増生と,拡大したリンパ濾胞間に多数の好酸球浸潤を認め木村病と診断された.術後15か月現在,腫瘤の再増大なく経過観察中である.