2024 年 60 巻 4 号 p. 702-707
症例は生来健康な5歳女児.上腹部痛と嘔気を主訴に近医受診したが,翌日に腹部所見の増悪,意識障害を認め,ショック状態で当院PICUに救急搬送となった.画像検査で多量のfree air及び腹水貯留を認め,消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.開腹所見では胃体上部大弯側後壁に3 cm大の破裂部を認め,一期的に縫合閉鎖,腹腔内洗浄ドレナージを行った.術後はPICUで全身管理を行い,術後24日目に自宅退院となった.本症例では病歴や術中所見,術後の病理組織検査・上部消化管内視鏡検査の所見から明らかな原因は同定できず,特発性胃破裂と診断した.乳児期以降の小児の特発性胃破裂は極めて稀であり,報告例もわずかである.特に既往のない幼児に発症し,数時間程度で急速な症状の増悪をきたしている症例が多く,救命には早急な診断および適切な治療が重要と考えられた.