2026 年 62 巻 1 号 p. 49-53
陰部浮腫は腹膜透析(peritoneal dialysis: PD)患者における合併症としてしばしば報告される.皮下に透析液が漏れ出る事によって発生し,過去の腹部手術創が原因になることもあれば,鼠径ヘルニア等の腹膜の脆弱な箇所で生じることもある.
今回我々は生後1か月の女児で,会陰部の浮腫を主症状とし,のちに鼠径ヘルニアの診断に至ったoccult inguinal herniaの1例を経験した.皮下への透析液の漏出により除水不良を起こし,鼠径ヘルニア手術とPDカテーテルの入れ替えを行った.手術により透析液の漏出は改善し,その後再発を認めていない.
小児PD患者では,腹膜の損傷は透析液の漏出を起こす可能性があり,腹膜の損傷箇所は可及的に減らす事が望ましいと思われる.また,小児PD患者では鼠径ヘルニアが再発しやすい傾向があり,慎重な術式選択と手技が特に肝要と考えられた.