2022 年 2 巻 Supplement 号 p. S13
野球競技における投球動作は、肘関節に外反ストレスを生じさせ、過度な投球数による多大な肘関節への負荷は肘関節内側の機能障害を引き起こすことが知られている。
スポーツ障害に対する画像評価には、一般的にMRIやCT、X線、超音波画像診断装置(以下、US)が用いられる。その中でも、USの利点は、自由な走査が可能であることや現場にて軟部組織の形態学的変化や動的な評価を行えることである。そのため、我々理学療法士は立場上診断することはあってはならないという点に十分注意が必要であるが、機能評価を行う方法として理学療法士でも臨床場面で取り入れやすい評価機器の1つである。文献検索エンジンPubMedにて「baseball」and「elbow」and「ultrasonographyのMeSH terms」にて検索を行うと、285件(2022年10月14日時点)がヒットし、報告数は近年において急増していた。このことから、USのスポーツ分野や運動器分野への応用の普及が近年で急速に進んでいることがわかる。
野球肘のリハビリテーションにおけるスローイング開始の段階では、疼痛の出現や機能低下に注意し、段階的にスローイング強度を上げていくGraded Return to Sportsの原則にて進めていく必要がある。我々の研究チームでは、およそ7年前から反復的な投球により生じる肘関節内側組織への負荷に着目し、高校野球選手を対象に反復した投球中にUSを用いて肘関節内側組織を評価し、反復投球中における肘関節内側組織の経時的変化の検証を進めてきた。その結果、投球60球にて肘関節外反動揺性の有意な増加や投球100球にて静的安定化機構の尺側側副靭帯の緩み、そして動的安定化機構の前腕屈曲回内筋群の機能低下などが徐々に明らかになってきている。
本シンポジウムでは、内側型野球肘のUSによる評価に関するこれまでの主要な研究論文について整理して報告する。そして、我々の研究チームのこれまでの研究で得られた知見を紹介する。