抄録
各種肺疾患における肺胞マクロファージ(PAM)の機能の一端としてNBT還元能を検討した。対照群のPAM-NBT陽性率は, 19.8±4.6%で喫煙により増加し, 疾患群においてCRPの上昇と相関を示したが, 末梢血好中球のNBT還元能とは, 有意な相関を示さなかった。疾患群でPAM-NBT還元能が上昇していた疾患は, 肺炎, びまん性汎細気管支炎, 気管支拡張症(p<0.005), 慢性気管支炎, 肺結核(p<0.01)の各種呼吸器感染症と肺癌(p<0.025)ならびに膠原病性肺疾患(p<0.05)であった。一方, 低下を認めた疾患は, 塵肺, 肺胞蛋白症, パラコート肺(p<0.05)であった。LPS刺激によるPAM-NBT還元能は, 肺癌と特発性間質性肺炎および肺胞蛋白症で反応の低下を認めた(p<0.025)。これらの成績より, PAMのNBT還元能を検討することは, 肺局所におけるPAMの感染防御因子としての働きや, 病態に果たすPAMの役割を検索する上で有用な方法と考えられた。