背景.気道異物の報告にて,近年高齢者の症例割合が増加傾向である.異物除去には軟性気管支鏡が第1選択であるが対応困難な症例もある.対象と方法.2010年4月から2015年10月までに当科で気道異物と診断した9例を対象とし,年齢,異物の種類,摘出方法などについて検討した.結果.内訳は小児1例,成人8例,年齢分布は3~96歳(中央値74歳)であった.軟性気管支鏡を行う際はすべてミダゾラムの静脈内投与にて鎮静を行い, 6例は軟性気管支鏡下に摘出可能であり,問題となるような合併症も認めなかった.肉芽形成のための1例と,小児症例では軟性気管支鏡のデバイスでは異物の把握が困難,酸素化保持も困難であったため,硬性気管支鏡が必要となった症例が2例あった.結論.気道異物は成人・高齢者症例が増加してくる可能性があり,それに備える必要がある.軟性気管支鏡が第1選択であるが,鎮静方法も含め,症例に応じた適切な治療法の選択が必要である.