抄録
樹木個葉による光合成 · 蒸散過程の制御を表す細胞間隙と大気のCO2濃度比 (Ci/Ca) は森林群落上におけるH2O · CO2フラックスの推定を行う際に重要となるパラメータの1つである。本研究では暖温帯性広葉樹のCi/Caの季節変動とその決定要因を明らかにすることを目的とし, 兵庫県赤穂市の人工樹林帯において常緑広葉樹3種 (Quercus glauca, Cinnamomum camphora, Castanopsis cuspidata) と落葉広葉樹1種 (Quercus serrata) を対象として光合成 · 蒸散速度の野外測定を行い, Ci/Caを算出した。対象木は常緑樹 · 落葉樹いずれも展葉期において, 葉の成長にともないCi/Caが減少すること, また落葉樹は落葉期において葉の老化にともないCi/Caが増加することが明らかになった。展葉期と落葉期を除いた成熟期における対象木のCi/Caは幅広い環境条件下で一定となり, 樹種間差が小さいことが明らかになった。