抄録
近年のヨシの幼苗生産では, 地上茎(稈)や地下茎に着生する側芽を伸長させ, これを幼苗とする方法が多用される。本論では, 稈および地下茎を小片に成形, これらに着生する側芽が伸長を開始する割合(側芽伸長開始率)とその生長量について比較検討した。稈および地下茎の側芽伸長開始率は両者に差はなかったが, その後の生長量は前者が大きかった。また, 稈および地下茎のそれぞれを各節位に分別, これら小片の側芽伸長開始率を測定した結果, 稈では下端部が高く, 地下茎では各節位で差がなかった。つまり, ヨシの幼苗生産を生産性から検討すると, 地下茎よりも稈が有効であり, また稈では下端部がより適正と考えられた。他方, 温度や小片の長さが稈の側芽伸長開始率に及ぼす影響を検討した結果, 長さより温度条件が大きく影響することも示唆された。