抄録
土壌動物群はそれぞれ地域環境の特性を把握するのにしばしば用いられる。そこで,緑化法面に生息するアリ類とトビムシ類について調査し,アリ類では群構成と植生構造,トビムシ類では群構成と土壌微生物相との相互関係をみた。その結果,アリ類は,その生息環境としての植生構造が発達している法面ほど,種構成が周辺の林に類似していった。一方,トビムシ類は,堆積有機物の中でも落葉層よりもF層やH層など原型をとどめない有機物が多い法面土壌ほど腐植食性群が多くなり,周辺林との類似性が高まった。また,C/N比,トビムシ相,土壌微生物相の3者間に強い相互作用がうかがわれた。さらに,緑化法面の土壌では,有機物量が森林と同様の平衡状態に近づくとともに,主に腐植食性のトビムシ類が優占する土壌環境になると考えられた。