抄録
里山構成植物であるササユリ(Lilium japonicum Thunb.)の生態特性について,特に生活史の観点から調査を行った。幼植物の葉状リン片の葉状部分を除去した場合の再生率は15%と低く,葉の破損が危惧される幼植物生育時期の保全管理作業は好ましくないと考えられた。開花株の開花翌年の再開花率は50%程度であり,一部の個体は地上型植物に幼齢化する現象も認められた。また,?刮ハの生存率は食害,折損等により開花3ヶ月以降に低下した。このため自生条件では,開花株が再開花し,正常に種子繁殖を行う率は極めて低いものと推察された。また,ササユリは部分自殖性に相当し,自殖を行うものの他殖傾向が強いため,自生地の保全のためには訪花昆虫の個体密度を維持する環境整備も必要であると考えられた。