寒冷地である岩手県北部に位置する林道切土法面において,コナラ─ミズナラ群落の形成を緑化目標として,多種類の国内産自生種を用いた植生基材吹付工(工法名: 斜面樹林化工法5))の試験施工を実施した。施工後約5 年間にわたる植生調査の結果,ミズナラやコナラとともに多種類の落葉広葉樹が混生した植物群落が形成され,緑化目標に向けて順調に推移していることが確かめられた。また,隣接した法面で実施した,マメ科低木類を主体にカエデ類を混播した試験施工の施工7 年7 ヵ月後の植物群落と比較すると,両者の群落景観は明らかに異なっており,国内産自生種を主体に用いた播種工による植物群落の形成は,寒冷地における法面の自然回復緑化手法として有効であることが確かめられた。