抄録
トンボ幼虫の種数及び個体数は,生息池ごとに異なることが分かっている。本研究では,その要因として周囲の植生から供給される落葉の有無が影響しているという仮説を立て,水槽を用いた実験で検証を試みた。トンボ幼虫の個体サイズや種などが異なる環境において,それぞれ水槽内にリター有区と無区を作り,群集形成メカニズムを検証した。結果,リターの存在は,個体サイズが小さいヤゴにとって,個体サイズが大きいヤゴから隠れる場所となることにより,リター有区では,個体サイズが小さい種のヤゴの生存率が有意に増加した。以上より,リターの存在がトンボ幼虫群集の形成に影響を及ぼしていることが明らかになった。