日本緑化工学会誌
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論文
張りシバ地に播種された数種の半自然草地構成種の初期生育に関する実験的研究
山田 晋根本 正之
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2013 年 39 巻 1 号 p. 33-38

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抄録
河川堤防の築堤の際,法面はシバなど単一の植物種を用いて緑化されるが,生物多様性復元・創出の観点に立脚しながら多様な植物種を導入する手法は知られていない。そこで,堤防緑化に用いられる切りシバの目地に,半自然草地構成種(ノハラアザミ,ユウガギク,ツリガネニンジン,アキノタムラソウ)を播種するとともに,土壌タイプ,播種密度が異なる実験区を設け,張りシバの有無,土壌タイプ,播種密度の違いが播種した種の定着に及ぼす影響を,1シーズン調査した。供試種の定着率は種により大きく異なった。定着率の高いノハラアザミとユウガギクは,播種直後,裸地に播種した実験区よりも張りシバ地における定着率が有意に高かった。その後,シバとの競合により,供試種の定着率に及ぼす張りシバの有意な効果は認められなくなった。畑土壌を用いた実験区は河川土壌よりも発生雑草量が多く,供試種の定着率はより低かった。ノハラアザミについては,播種密度が低いほど定着率が有意に高かった。
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