抄録
駿河湾奥の沼津市千本浜海岸においてカワラナデシコの生育立地特性を調査した。2区計1,630 mの海浜区間で,計794株が確認された。立地区分では高位面の草原,次いで崩落性斜面で生育密度が高く,半安定帯では生育が確認されなかった。ベルトトランセクト調査において,各調査区の個体数密度と土壌硬度,土壌水分,開空率の間に相関は認められなかった。各調査区の出現植物の被度を用いてDCAとクラスター分析を行った結果,本種はススキ等と同じグループにまとめられた。内陸側の松林と海側の半安定帯の海浜植生の間に生じた半自然草原が,本種の生育立地となっていると推察された。