斜面地 (勾配 5~48°) における根系分布と引き抜き抵抗力を明らかにするために,コナラ 6 個体を対象に,根元半径に立木間中央距離 0.5 m を加えた距離を半径とし,深さ 1m の円柱状の土壌断面を掘削した。断面上にみられる直径 1 mm 以上の根の位置を記録するとともに (n=4,483),引き抜き抵抗力を測定した (n=640)。その結果,根直径と引き抜き抵抗力との関係は,根直径 30 mm 未満の場合と,それに 30 mm 以上の根を加えた場合との間に有意差がみられ,根直径が増加しても引き抜き抵抗力はそれほど高まらないこと,鉛直根より水平根が有意に多いことが明らかとなった。また,斜面上方と下方に伸長する根で,根直径と引き抜き抵抗力との関係に差はみられかった。一方,急傾斜に生育する個体と比較して地上部サイズが小さいにも関わらず,緩傾斜に生育する個体で,かつ下方伸長する根ほど,根直径は統計的に大きくなる傾向がみられた。