生育環境の違いが潮上帯のハマボウ稚樹の樹形に与える影響を明らかにするため,紀伊半島に自生する稚樹の生育位置と形態について調査した。 6地点で樹高 150cm 未満のハマボウの生育位置の記録と個体数の計測を行った。この結果,成木の樹冠から離れて単独で生育する稚樹より,樹冠下の稚樹の個体数は多かった。また,4地点に生育する稚樹の樹高,地際直径,主幹の節間数の計測を行った。この結果,場所ごとに樹高成長と肥大成長は異なったが,降水量の多い太田川では,節間長と年間肥大成長量は 4地点すべての個体での傾向と同様となり,降水量以外の条件が稚樹の樹形や成長に影響を与えたものと考えられた。